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ハザードマップで変わる不動産の価値について

コラム

1.ハザードマップとはどんなもの?
2.不動産売買で説明義務があるハザードマップ
3.ハザードマップは不動産売却に影響がある?
 3-1.ハザードマップの内容だけで不動産の価値が下がることはない
 3-2.価格に影響する可能性はある
 3-3.過去に災害があったケースでは相場での売却が難しい
4.まとめ

不動産売却を考えたとき、好立地や築浅、人気のある間取りなら良い条件で売れそうな気がするものですよね。
ただ、最近顕著になってきた大雨や台風などによる浸水被害の懸念から、ハザードマップをチェックして不動産購入する方も増えていますから、それが「不動産売却のしやすさ」や「不動産の価格」にどのような影響を与えるかが気になる方も多いでしょう。
そこで、今回は“ハザードマップ”によって不動産の価値がどんな風に変わるのか、そして売却時に不安に感じやすいポイントをお伝えしていきます。

1.ハザードマップとはどんなもの?

不動産売却・不動産購入にかかわらず、ご自身のお住まいの被害想定をハザードマップで確認したことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
ハザードマップは、国と自治体による自然災害時の被害予測図です。
豪雨や台風、地震など自然災害が起こったとき、「被害が大きくなりそうな区域」や「避難場所」が地図内に分かりやすくまとめられています。


細かい部分は自治体によって異なりますが、大きく分けると次の7種類です。

  1. 大雨で氾濫した川の影響で浸水するエリアを示した「洪水ハザードマップ
  2. 集中豪雨などにより下水への処理能力が追い付かず、河川に放流できない水による浸水被害を示した「内水ハザードマップ」
  3. 台風などによって起こる高潮による浸水が予想されるエリアを示した「高潮ハザードマップ」
  4. 大規模な地震により津波が起こった場合の浸水を想定した「津波ハザードマップ」
  5. 大雨で土砂崩れや土石流が起こる可能性があるエリアをまとめた「土砂災害ハザードマップ」
  6. 火山の噴火による被害地域を想定した「火山ハザードマップ」
  7. 地震による建物被害や液状化に関する被害を想定した「地震ハザードマップ」

自治体によって、作成パターンはさまざまです。別々の地図にまとめているパターンもあれば、それぞれの災害をひとつの地図に示しているパターンもあります。
ハザードマップは、各家庭に配布されることはもちろん、窓口での入手も可能です。また、市町村ホームページからなら、いつでも災害時の危険箇所の確認ができます。

2.不動産売買で説明義務があるハザードマップ

そもそも、不動産を売却するときには、その物件に住むにあたって伝えておくべき重要事項を購入希望者に説明しなければならないとされています。

  • 不動産の登記に関する情報
  • 法令上の制限内容
  • 敷地と道路との関係性
  • 売買代金や契約解除など取引条件の内容

などが主なものでした。

ところが、2020年8月の宅地建物取引業法の改正から「重要事項説明のとき、不動産購入をする人に向けて水害リスクをハザードマップで説明する」ことが義務化されました。

近年の日本ではこれまでに考えられなかったような水害が多数発生しており、「水害」は身近なものと化しています。川の氾濫や道路の冠水などの光景をニュースで見ると驚きと同時に、自然災害が身近になってきたと実感させられますよね。
しかしながら、被害状況をニュースで見たときには「災害が起こると怖い…」と感じるものの、マイホーム購入を検討すると「新築にしようか、中古にしようか」「交通の便がよさそうなところがいい」「間取りやインテリアにこだわりたい」「中古なら築年数が浅い方がいい」などばかりが気になる、ハザードマップを参考にしないという方もたくさんいます。
そこで、国民が水害のリスクや万が一の避難について居住前に理解しておけるように、国によって義務付けられることとなりました。

3.ハザードマップは不動産売却に影響がある?

ハザードマップの内容だけで不動産の価値が下がることはない

まず、お伝えしたいのは、売りたい不動産がハザードマップの浸水被害の想定区域に入っていたとしても、それが原因で「不動産の価値が極端に下がる」などの心配はないという点です。

そもそも不動産売却において、

  • 地価公示や地価調査、路線価など公的機関から発表された価格
  • 実際の売買取引で成立した実勢価格(時価)

などを参考にしながら物件の価格が考えられることになります。

公的価格の調査に携わるのは、不動産を専門的な観点から分析できる“不動産鑑定士”という国家資格を持つ方々。
鑑定評価の時点で、災害発生の危険性や影響が起こり得る土地であれば、それを加味した価格となっています。
そのため、これらの公的価格をもとに不動産売却時の価格を算出していきますから、これから“さらに不動産の価値が下がる”ことはないのです。

価格に影響する可能性はある

しかし、不動産売買は「売りたいという人」と「買いたいという人」がいてこそ成り立つものです。
相場に見合った売却価格を設定しても、ハザードマップの被害想定を知ると「水害リスクが高いのにこの価格はちょっと…」と思えば、購入までには至らないでしょう。
しかし一方では「相場よりも少し安ければ、水害リスクがあっても買いたい」という人もいるかもしれません。
そのため、「相場での売却価格では売れにくい」「相場よりも数割程度安くすると買い手がつく」などのケースがあるでしょう。
つまり、高く売りたいという売り主の気持ちがあっても、その価格で購入してくれる人がいなければ価格を下げるしかない可能性もあるのです。
それが「ハザードマップが価格に影響するかもしれない」と言われる理由のひとつで、ハザードマップによって不動産の価値は下がらずとも、現実的に不動産売却に影響することは否めないのです。

過去に災害があったケースでは相場での売却が難しい

ハザードマップは、あくまでも「住民が危険となり得る場所を正しく知ること」「万が一の災害時にはスムーズに避難できること」を目的とした地図であり、不動産売却時の価格に影響を及ぼすものではありません。
ただ、そのなかでも過去に実際に災害が起こっていた場合、買い手の心理を大きく揺れ動かします。
いくら間取りや周辺地域の環境が気に入ったとしても、災害履歴を考えると購入の決断は簡単ではないでしょう。
そのため、相場での売却では難しく、価格を下げなければならないといった影響もあります。

4.まとめ

今回は、不動産売却の価格がハザードマップによってどのような影響をもたらすのかを中心にお伝えしました。
ハザードマップはそもそも“災害が起こったとき”を意識させる地図のため、それによって不動産の価値が下がることはありません。