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事故物件の売却が積極的に?死の告知に関するガイドラインを徹底解説

コラム

1.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」とは?
2.ガイドラインの概要
3.ガイドラインの適用範囲
4. 事故物件に該当していると思われがちな条件
5. 事故物件なのに事故物件では無くなる!?
6. 事故物件となる「人の死」に関する調査はどのように!?
7. まとめ

物件を売買する際に一番気になるのは最終的な販売価格です。
優良物件であっても事故物件扱いになると「思っていた金額で販売できない…」「不幸事になるなら貸し出すのではなかった…」などと後悔する事もあります。
ここでは人の死が発生した物件の告知に関して掘り下げて確認していきます。

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1.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」とは?

「事故物件」という言葉は、古くから用いられており一般的に使用されています。
しかしながら2021年以前は事故物件の定義は明確に定められておらず「殺人事件や自殺」など後に住む人が嫌悪感を抱くような亡くなり方をした物件に使われていたようです。

そのような物件でも、一度誰かが入居するとその後に住む人には告知義務(亡くなったことを説明する義務)はないなど、宅建業者でも告知するケースとしないケースがさまざまあります。

宅地建物取引業法で「心理的瑕疵の告知」(瑕疵「かし」とは主に欠点や欠陥の事)が宅建業者に義務づけられていますが、宅建業者によって事故物件の告知範囲があまりにも異なることを受けて2021年10月8日に国土交通省より「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」と表記)が公表されています。*

*国土交通省(「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました)参照

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2.ガイドラインの概要

本ガイドラインでは、対象とする不動産取引において過去に「人の死」が生じた場合において、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、過去の裁判例や取引実務と照らし合わせて一般的に妥当と考えられるものをとりまとめ整理したものです。
原則として、ガイドラインでは宅地建物取引業者は取引を行う事に関して人の死という事案が、取引相手の決定判断に重要な影響を及ぼすと考えられる際にはこれを告げなくてはならないとしています。

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3. ガイドラインの適用範囲

ガイドラインの適用範囲は「居住用不動産」のみです。
オフィスや店舗・テナントなどの事務用不動産は対象外になります。
本ガイドラインは、人の死に関する事案が継続的に生活の場として用いられる場所においてその快適さに影響を及ぼす度合いが高い事から制定されたものです。

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4. 事故物件に該当していると思われがちな条件

住居内で人が亡くなった物件が、全て事故物件であるようなイメージを持っている方が多いかもしれませんが、調べてみるとそうではありません。
高齢化社会が加速する現代社会で、人の死は身近な出来事の一つとなりますが、人が亡くなった物件全てを事故物件とすると世の中の物件は事故物件だらけになってしまいます。
では、事故物件扱いでないケースはどのような場合なのでしょうか?
実際に事故物件扱いでなく告知の必要のないケースは以下のとおりです。

①老衰・持病に伴う病死

一般的な自然死や日常の中で発生した不慮の死は告知の必要がなく事故物件とみなされません。
居住用不動産において自宅における自然死・不慮の死は全体の9割を占めるものなので、心理的瑕疵を否定したものと考えられます。

②対象不動産の隣接住居や日常生活で常用使用しない共用部分での死

日常生活で常用する共用エレベーター・廊下・階段以外の場所で死が発生すると告知の必要はありません。

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5. 事故物件なのに事故物件では無くなる!?

前記①②以外の死が発生した場合や、①の場合でも死後時間経過により特殊清掃が行われた場合事故物件となります。
事故物件に関しても、賃貸借取引の対象物件であれば①の場合や特殊清掃が行われてから特段の事情がない限り、概ね3年間を経過すると告知の必要がなくなります。
(告げなくても良い案件としても、社会的に知名度が高い事件・事案は告げる必要があります。)

不動産の売却時に関しては希釈期間の明記がガイドラインにはない状態となっています。
賃貸よりも売買時の方が心理的瑕疵影響を強く受ける為に不明瞭となっていると推察されます。

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6. 事故物件となる「人の死」に関する調査はどのように!?

ガイドラインで人の死に関する告知を明確にしたものの、その調査がどのように行われているのか見えないものです。
今回のガイドラインでは、宅地建物取引業者が人の死に関する事案が発生した否かを自発的に調査する義務までは課せられておりません。

売主・借主・管理業者からの告知書や聞き取りを以て調査を行ったとみなされます。
その内容の裏取り調査までは、個人情報の観点からもする必要はないということです。

宅地建物取引業者は知り得た事実確認情報を偽りなく売主や借主に告知する必要があり、
仮に虚偽の内容で告知した際には民事上の責任を問われる可能性があります。
〈留意事項〉
人の死を告げる必要があるとはいえ、
亡くなった方やその遺族のプライバシーを容易に侵害して良いということではありません。
亡くなった遺族の名誉や生活の平穏には十分配慮する必要があり、不当に侵害する事がないように「氏名・年齢・住所・家族構成・具体的死の態様・発見状況」などは告げる必要がないとしております。

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7. まとめ

対象物件自然死・不慮の死その他の死
対象物件告知は不要
(特殊清掃があった際は3年間の告知が必要)
3年間の告知
売買物件告知は不要
(特殊清掃があった際は3年間の告知が必要)
告知期間の定め無し

※賃貸物件・売買物件どちらの場合であっても、社会的に与えた影響が高い事案に関しては死の告知を行う必要があります。

不動産を売却する際には、少しでも良い条件で交渉を進める必要があります。
ガイドラインで死の告知に関して明確になった事が多々ありますので、情報の取り扱いと売却タイミングはよく考える必要があります。

購入する側は、死の告知に関する正しい情報を入手して長期間住むことになるお住まいをストレスない環境で住めるように不動産業者と密に情報共有を行う必要があります。

ガイドライン上で事故物件の扱いではない場合でも、一度事故物件というイメージがついてしまうと社会的損失は避けられません。
ガイドラインをきっかけに不動産取引がより良くなることを期待したいものです。
当社では、事故物件の買取も行っています。なかなか買い手が見つからないなど、お困りのことがありましたら、ぜひご相談下さい。